花明かりの夜に

(馘にすると言ったり、給料を上げると言ったり……)


まったく、勝手なことをおっしゃる。

沙耶は小さくため息をついた。


「……馘になさるはずでは?」

「……君はいろいろ根に持つんだね」


形の良い唇がいたずらっぽくニッと笑った。

目がにっこりと細まる。

その笑顔に、つられてふと沙耶の固い心がゆるむ。


「……実は、あの……」

「……?」

「あまり遅くなると、桔梗さまのお体にさわると思いまして」

「桔梗……?

ああ、春日の奥方の?」

「はい」