花明かりの夜に

またしても一寸で止める。


紫焔の口元が、フッとゆるんだ。

鋭い目が、満足げに細まる。


「……参った」

「……」


沙耶は無言で身を引くと、竹刀を下げて一礼した。


「……では、今日は帰らせていただきます」

「沙耶。暮六つの鐘はまだ鳴っていないよ」

「もう手合わせは済みましたので」


そっけなく言って歩き出す沙耶の胸元に、すっと竹刀が伸びた。


「もう一手どう?

今度も勝ったら、給金を上げてあげる」

「……」