花明かりの夜に

思わず自分に苦笑しながら、かごを手に立ち上がった。


「さて、仕事仕事」


声に出して、自分に喝を入れる。


(わたしはただの一使用人だもの。

それ以上では決してないのだから。

余計な望みは自分を苦しめるだけよ)


(――余計な望み?)


余計な望みなど持っていないのに。


(バカね、わたしったら)


畳の掃除をしながら、ひとり首を横に振った。


 * * *