花明かりの夜に

何となく落ち込んでいる自分がいた。



 * * *



「失礼……いたします」


紫焔の部屋のふすまを音もなく開いて、そっと左右を見わたす。


「……」


息を詰めてしばらく気配をうかがうも。

部屋の中からは、昨朝と違って何も飛んでこなかった。


(……若さま、いらっしゃらない)


何となく拍子抜けしてしまう。


――わたしったら、何を期待していたんだか。

竹刀が飛んできたら飛んできたで腹を立てるくせに。