花明かりの夜に

“うちの藩を実際に動かしているのは、お年をお召しになった藩主さまじゃなくて、紫焔さまよ”


(酔狂な伊達男だと思ってた)


美しく装い、意味ありげな視線を投げて女たちの羨望をほしいままにし、

おいしいものを食べ、女中をからかい――


すべての女は自分の思い通りになるとさげすんでいるような――


(だって、男なんだもの――)


「お遊びがすぎるという話も聞くけれど、そろそろ身を固めてもいいお年ごろなのにね。

――そのおつもりはないのかしら」

「……」


「若さまのおかげで、ここ数年でこの町は一気に人が増えて、とってもにぎやかになったの。

もともとは今よりずっとこじんまりした町だったのよ」

「……」


うれしそうに話す桔梗に何も言えなかった。