花明かりの夜に

「10年と少し前だったかしら、大規模な治水事業を立ち上げてなさってね」

「チスイ……?」

「いろんな水路を作る計画をお立てになったの。

おかげで舟での運搬路もできたし、洪水も起きなくなったし、

耕作地もずいぶん増えて作物の収穫量も年々上がって来ているの」

「……はぁ」

「今この町できれいな水が飲めるのも若さまのおかげよ」

「……そう、ですか」

「山の植林計画もどんどんすすめていらっしゃるし。

ほら、向こうの山も、今はたくさん木が植わっているでしょう? でも、昔はハゲ山だったのよ」

「……」


(10年以上前といえば、若さまが14、5歳のころ?

そんなころから、大規模な事業を?)


「本当に、いつそんなに勉強なさっているのかと思うくらい、何でもご存知だし。

弓の稽古も決して怠らないのに」