花明かりの夜に

「まさか……そんなわけありません。だって、すごく驚きましたのに」

「だったらとんだ鉄面皮だな。大したもんだ」

「……」

「――まぁ、女に危ない仕事をさせるつもりはないがね」

「あら、若さま、本当にそうお思いですか……」


ゴーン


不意に鳴った暮六つの鐘の音が、沙耶の声をかき消した。


「おや、時間だね」

「……あ、はい」


(もう……暮六つ?)


時間の経つのがずいぶん早い気がする。


「じゃあ、また明日、おなじ時間にね。

もう暗いから、だれかに送らせよう」