花明かりの夜に

「女だからいいんだ」

「……?」

「だってそうだろう?

おまえのような美しい女がまさかこんな剣術の達人だとは誰も思わない。

単に連れ歩いているとしか思わないだろう」

「……」


(美しい……?)


その言葉にギョッとした。

何かのスイッチが入ったかのように、脳裏で忘れたい男の声がよみがえる。


“沙耶。おまえの美しさは金になる”


(あ――)


ニヤニヤした嫌な笑いを浮かべたあの男の顔が脳裏に浮かんで。

ぞっとして、必死で頭から追い出そうと思わず首を振った。