花明かりの夜に

(あ……)


それはそれは、おいしい豆餅。

もっちりした歯ごたえの中に、豆の塩味がキリリと映えて。

噛むごとに、ひねた心がふわりとほぐれていくよう。


「……」


(おいしい……すごくおいしい)


思わず目を見ひらいて豆餅をみつめる沙耶を満足げにながめると、紫焔はまた何も言わずに茶をすする。


あっという間に1つ食べ終わって、二つ目を頬張る沙耶に目をやって。

紫焔の形のよい唇がニッと持ち上がった。


「何ならわたしの分もあげようか」

「……いいえ、とんでもありません」


目を伏せたまま、慌てたように小さく首を振って断った。

隙を見せたくない。そんな態度。