花明かりの夜に

名家の若君が、ただの女中の自分に一体何をするというのだろう。

しかも少々育ちがあやしいと来ている。

シュッと、頬に火がついた。


「も申し訳ありませんッ

すぐに片づけます」


動揺しながら急いで拾い集めていると。

濃紫の羽織の袖からのびた白い優雅な手が、そっと着物をすくってカゴに入れた。


「若さま、いけません。これはわたしの仕事ですから」

「わたしの着物でもある」


(もう……何なのよ。

人をからかって)


動揺する自分を馬鹿にしているように、ニヤリとほほえむ美しい顔に、腹が立った。