花明かりの夜に

(わ……)


驚いて、びくりと心臓が跳ね上がる。


「名を聞き忘れた」

「……沙耶、と申します」

「沙耶、ね。いい名だ。

君のその澄んだ爽やかな瞳に合うよ」


(澄んだ? そんなわけないでしょう?)


目を伏せる沙耶の顎がそっと持ち上げられたかと思うと。

黒い謎めいた瞳がじっと沙耶に注がれて。


「それとも、刀の鞘(さや)から取った名かな?」

「……」