花明かりの夜に

「ずいぶん短いな。

暮れ六つの鐘が鳴るまではどう?」

「一手、お手合わせするには長すぎません?

帰りが遅くなってしまいます。ちょっと難し……」


紫焔は開いたふすまから廊下に身を乗り出して、とつぜん声を張り上げた。


「この女中、寝ているところに入ってきたからクビに……」

「わわわかりました!

……暮六つまでお付き合いします」

「毎日ね」

「……」


(もう、何なの)


自分を好きなように扱ってきた男たちの記憶がぶわっとあふれそうになって。

沙耶はあわてて首を振った。