花明かりの夜に

クビにしたけりゃすればいい。

そう啖呵を切ってやろうかしら。


(……だめよ。

そんなことをしたら、このお屋敷のおつとめを世話してくれた春日さまのお顔をつぶすことになるじゃない)


「若さま、どうかそれは……」

「それとも君には、“恩義”を売るのが効くのかな」

「……」

「夜、一手付き合ってくれるね?」


勝ち誇ったように、ニヤリとほほえむ美しい顔。


「……それでは、これくらいのお線香の燃え尽きるほどの時間でしたら」


指先でさっと短い隙間を作る沙耶に、紫焔は片方の眉を上げた。