花明かりの夜に

(いくら若さまでも、何ごとも思い通りになんていきませんから)


困ったような笑顔にひそかに見とれながらも、心の中でつぶやく。


(――男の言いなりなんて、ならないから。もう二度と)


「剣の手合わせすら付き合ってくれないなんて、ずいぶんそっけないな。

……そうだ。

付き合ってくれないなら、寝ているところに入ってきたからクビにしろとでも言ってやろうかな」

「……」


からかうように上品にほほえむ、ひどく整った顔を見上げて。

沙耶は思わずため息をついた。


(何ごとも思い通りにならないと気が済まないの?

それとも――世界中の女が自分の方を向いていないと気が済まないの?)