花明かりの夜に

紫焔はかるくうなずいた。


「仕事が終わるのは何時ごろ?」

「夕七つ半頃です」(※午後5時くらい。季節による)

「夕七つ半ね。

じゃあ、今日仕事が上がったあとに、ここへ来るように」

「……え?」


沙耶は目を丸くして、紫焔の美しい顔を見上げた。

頬にじんわりと血がのぼる。


(何を……)


「え、なぜですか?」

「理由が必要?」


紫焔は踵を返しかけて、意外そうに半ば振り返った。