花明かりの夜に

紫焔に竹刀を渡すと、かるく会釈をして、くるりと背を向ける。


(この部屋には長居は無用ね)


まったく、命がいくらあっても足りない。


(こんな命がなくなったところで、別にどうということもないのだけれど)


どこか投げやりに考えながら、籐カゴをよいしょと持ち上げる。

と、また背後から声が掛けられた。


「ここに来る前は何を?」

「……」


聞かれて無視するわけにもいかない。

沙耶は籐カゴを抱えたまま半分だけ振り返った。


「……春日さまのお屋敷にお仕えを」