花明かりの夜に

(――今だ!)


「えいっ」


首をかしげる紫焔の一瞬の隙をついて。

沙耶は鋭く一歩切り込んで、紫焔の喉元にピシリと突きを入れた。

触れるか触れないか、まさにギリギリのところで止める。


(よし!)


「おっと」


黒い目を見ひらいてはっと息を吸い込む紫焔を見て。

すぅっと身を引いて竹刀を構えなおしながら、沙耶はほっとして思わず頬がゆるんだ。


(これで勝敗は決したはずよ)


「……もうよろしいですか? 若さま」