花明かりの夜に

「……?」


軽く羽織をはおって御帳から出ると。

なかばひらいた障子の向こうで、着物をてきぱきと長持に詰めているうしろ姿が見えた。



昨日の朝見た木の上の姿にふと興味を持って、自分の部屋の担当にたわむれに配置換えをしてみた女。


行儀よくすっと伸びた華奢な背中を見ていると、つい意地悪を言いたくなった。


「寝ているところに入ってきたのは、わざと?」


実際のところ、この屋敷に上がる女は“あわよくば玉の輿を”と自分に狙いを定めている女が少なくないのだ。

そういう女たちのはかりごとなど、たかが知れている。

自分の目に止まろうと、あの手この手で近寄ってくる女たち。