花明かりの夜に

「桔梗は、自分が沙耶を拒絶したように思ったのではないか、とひどく落ち込んでいたよ。

わたしの屋敷に何とか行かせようと、わざと強い態度を取ったのが、そう受け取られたんじゃないか、とね」

「……そんな……桔梗さまは何もお悪くないのに」

「君の先輩の桂にもずいぶん叱られたよ。

わたしが沙耶を毎日遅くまで付き合わせて、嫌になったんじゃないかってね」

「桂さんが?」

「ああ。

おかげで仕事が増えたとぶうぶう言っていた」


紫焔はくすくす笑った。

いつもの少年のような楽しげな笑い。


「みんな沙耶のことが好きなんだ。

沙耶の帰りを心待ちにしているんだよ」

「若さま……」