花明かりの夜に

(あ……)


以前、紫焔に言われたことを思い出す。


『それは――

君自身が“自分を愛していない”からだ』


(自分を愛するというのは、こういうこと――?)


いいところも悪いところも、すべて今の自分を受け容れること。

そう、今までは自分をまったく受け容れられなかった。


そんな自分を大事に出来るわけがない――




「沙耶。一緒に帰ろう」

「若さま……」


沙耶はうつむいた。