花明かりの夜に

「た、たいへん失礼いたしました、若さま。

またのちほどお伺いいたしますので、どうぞごゆるりとお休みくださいませ。

誠に申し訳ございませんでした」


必死でもごもご言いながら、頭を下げたまま、ずりずりと後ろに下がって。

そのまま寝間から出て、その場から逃げ出そうとした。


バク バク

心臓はまだ大きく波打って、飛び出してしまいそう。


「待って。

もう起きるから、気にせず仕事をすればいい。

……ずいぶん遅くに帰ってきたものだから、すっかり寝坊してしまった」


「……それでは、恐れながら……」