花明かりの夜に

無意識の動きに、ついつい昔の癖が出る。


(危なかった……

一体何……?)


バクバクバク


いきなりのことに、激しい鼓動がおさまらない。


(もしや、賊……?)


身構えながら、何か武器になりそうなものはないか、素早く周りを見回していると。

御帳の向こうから、“賊”の声がした。


「……おやおや、ずいぶん身軽だな。

さては、昨日の朝に木登りをしていたのは君かな?」

「……?」