花明かりの夜に

(そう――そうかもしれない)

(でも――

こんな自分のどこを愛せるというの?

こんな、どうしようもない、汚れきったくだらない自分を)


「自分すら愛せない人間の心を、他人が満たすのは極めて難しいものでね」

「……」


紫焔の謎めいた黒い瞳がじっと沙耶を見つめる。


「さらに言えば――

自分すら愛していない人間が、他人をどうやって愛せる?」

「……」

「君は桔梗にやけに執着しているけど――

君は桔梗を愛しているんじゃなくて、愛情を求めているだけだ。

愛情を与えてくれる人間として必要としているにすぎないよ」

「……」