花明かりの夜に

「桔梗は君をとても愛している。それはわかるね?」


(そんなことない。わたしなんて、ただの――)


「……」


口をひらく余裕のない沙耶に、紫焔はたたみかける。


「なのに君は、桔梗が君をどれだけ愛していても足りないらしい。

桔梗が全身全霊、君を全力で愛したとしても、きっと君は足りないだろう。

それ以上の愛情を君は桔梗に求めるに違いない。


――なぜだかわかる?」


「――え?」


シュッ


乾いた音がして。

紫焔の刀をぎりぎりでかわした、その刃先がを空を裂いた。