花明かりの夜に

“若い女を好きに出来るよ”


聞き慣れたフレーズ、忌み嫌っていたフレーズに、

胸がバクバクと激しく打ち出して――


(若さま、どういうおつもりですか――?)


暴れる心臓をなだめながら。

横にすり足で移動しつつ、お互いの間合いをはかる。


(おかしい――

何かが違う)


紫焔はとつぜん、目に見えないほどの鋭い刀さばきで、沙耶の横にさっと切り込んだ。


「きゃっ」


何かが切れるざくりというかすかな音と衝撃。


(何? これは――)