花明かりの夜に

(当たり前よ――

誰がわたしなど、必要としてくれるというの?)


“おまえなんか、ちょっと顔がきれいなだけの、金も芸もないつまらない女なんだから”


(わたしに“ここにいてくれ”と言ってくれる人は誰ひとりいない――)


目の前がふっと暗くなった。



紫焔はさらりと濃紫の羽織を肩から落とした。

紫焔の唇が、何かを思いついたようにニヤリと歪む。


「せっかくだから、竹刀ではなく真剣を使うとしよう」

「真剣!?」


(そんな――無茶よ)


「そんな、いけないわ。若さまにお怪我を負わせてしまったら大変です」

「……自信家だな。わたしに傷を付ける気でいるとは」


紫焔はニヤリと笑うと、沙耶に刀を投げてよこした。