花明かりの夜に

掃除道具一式を戸の横に立てかけると。

籐カゴを脇に抱えて、続きになっている寝間の障子をすっと引いた。


何気なく寝床をへだてる御帳をひらいて。


「きゃあっ」


きらり。

とつぜん首元ににゅっと伸びた太刀に気づいて、思わず悲鳴をあげた。


(刀!?)


とっさに籐カゴを持ちあげて太刀を受けると、後ろにくるくると宙返りをしながら飛びすさる。

タッ。

自分の着地する軽い音がした。