花明かりの夜に

「……教養がない洗濯女では役不足だとおっしゃりたいのですか?」

「……ずいぶんつっかかるね」


沙耶の剣幕に、紫焔は苦笑して肩をすくめた。


「自分でも読みたいならこちらで、読書の時間を作るといい。

本ならここにもたくさんある」

「……」


むっと黙りこむ沙耶を、紫焔は面白そうに横目で眺める。


「沙耶は桔梗のこととなるとやけにむきになるんだな」

「桔梗さまには恩義があると申し上げました。だから……」

「恩義があるなら、桔梗にとって一番いい道を選ぶといい。

桔梗も、もっと本をたくさん読んでもらえるのはうれしいと言っていた」

「……」


ぐっと言葉に詰まって沙耶は口をつぐんだ。