花明かりの夜に

「ここを上がってからではもう遅い。

暗い行灯のあかりで本を読むのは目に良くないだろうと思ってね。

聞けば、ずいぶん長い時間暗がりで読んでいるそうじゃないか」

「……でも」


出鼻をくじかれて黙り込む沙耶に、座るようにゆったりと示して。

紫焔はうすくほほえんだ。


「それに、仕事を掛け持ちするのなら、春日で働く時間もここで働いた方が効率もいいし、上がりもいい」

「……効率なんて」


思わず肩でため息をつく。


「効率より優先したいものがあるんです」

「桔梗には、目の代わりとなるように、おあつらえ向きの人間をちゃんと世話しよう。

話し相手にもなる、教養ゆたかな人間を」