花明かりの夜に

「今日はもう遅いから、どうかゆっくり休んで。

わたくしも今日はもう休みますから。

また明日話しましょう」

「桔梗さま!」


立ち上がって、くるりと背を向ける桔梗に向かって伸ばした手がむなしく空をつかんだ。


(待って、桔梗さま……)


どうか、わたしを追い出さないで……!

わたしに背を向けないで……!




 * * *



「若さま、春日さまに何をおっしゃったのですか」


仕事あがりに部屋に入るなり口を開く沙耶に、自室で何かの書物に目を通していた紫焔は眉をあげた。