花明かりの夜に

「ねぇ、沙耶さん。

あなたに本を読んでもらって、いろいろ話すのはとても楽しい時間よ。

でも、若さまがせっかくそうおっしゃってくださっているんだから、もっと軽く、簡単に考えたらいいと思うの」

「……桔梗さま」

「あなたは考え過ぎじゃないかしら。

別にこれでわたしとあなたが永の別れをするわけじゃないんだし」


“永の別れ”


ある日突然頭を割られて死んだ父を、病の床で冷たくなっていた母を思い出し、急に涙がじわりと滲む。


(永の別れなんて、突然来るものよ)


「また縁があれば、本を読んでもらえることになるでしょう」

「桔梗さま……」