花明かりの夜に

(どうして勝手にこんなことを――

これでもう、わたしの居場所はここにはない――)


“誘いを断られたのは初めてだ”


(若さまは、人を自由に動かせるとお思いなのね。

人の気も知らないで――)


ちょっと言うことを聞かない女には、包囲網を縮めてやる。

そんな遊びのように思えて、沙耶は唇を噛んだ。


「だから……そのことは心配しなくていいから」


なだめるように言う桔梗の声が、耳を素通りする。


(桔梗さま……桔梗さまには、もうわたしは必要ないの?

若さまに言われて、あっさり他の人に変えるような、その程度の存在なのですか?

――わたしは、桔梗さまにとって)