花明かりの夜に

が、沙耶は一切口を開かなかった。


「桔梗さまは本がお好きでしょう?

わたしもぜひ読んで差し上げたいんです。わたしにも勉強になります。

ですから、どうかこれまで通り……」

「それが……」


桔梗は言いにくそうに首を振った。


「若さまが、日中に本を読んでくれる人を手配してくださったの」

「……」


(若さま!)


退路を断たれたような気がして、顔から血がさっと引いた。


(ひどい……若さま……)


紫焔がちらりと流し目に沙耶を見て、フッとほほえむようすが脳裏をかすめる。