花明かりの夜に

「待って、沙耶さん」


桔梗の手を取って歩き出そうとするのを、そっとさえぎられる。


「……? 桔梗さま?」

「あの……沙耶さん……あのね……」

「……?」


言いよどむ桔梗に、沙耶は首をかしげた。


「やっぱり暗がりで本を読んでもらうのはよくないわ。

わたしのわがままで、無理をさせてごめんなさいね。

もう沙耶さんに本を読んでもらうのはやめることにするから。

――だから、今日はもう休んでちょうだい」

「……桔梗さま、何を」


沙耶はあわてて桔梗の手を両手で取った。