花明かりの夜に

ゴーン



ふと落ちた沈黙を、暮六つの鐘が破った。


「若さま、お時間です。

今宵はこれにて、失礼いたします」


座してふすまを閉じるときも、お茶を片手に紫焔は思案深げに行灯の明かりを見つめていた。

暗がりで、紫焔の整った横顔がぼんやりと照らされて浮かび上がっていた。



 * * *



「沙耶さん、若さまのお部屋はどう?」

「あ、桂さん」


仕事が上がって着替えようとすると、先輩の女中、桂がちょうど着替え終わろうとしていた。

何日かつとめを休んでいたらしく、数日ぶりに顔を合わせる。