花明かりの夜に

紫焔は、どこか納得したように小さくうなずいて、それきり黙り込んだ。


“帰る家がないんです”


今は春日さまのお屋敷が、帰る場所。

ボロボロだった自分を拾ってくれた、桔梗さまのもとが。


(でも――

わたしは使用人。桔梗さまの娘じゃない)


あんなによくしてくれる桔梗すら、自分を一番には愛してくれない――

どれだけ毎日尽くしても、愛しても――



(寂しい)



一番母親を求めているのは自分なのかもしれない。