花明かりの夜に

「?」

「何も知らない子どもに付け入る男が許せないだけです」

「――男が?」


(あ)


はっとして、沙耶は口をつぐんだ。

どうも気が緩むと口がすべるらしい。


「いいえ、何でもありません」


あわてて否定する沙耶に、紫焔は声を落として尋ねる。


「沙耶。君には身寄りがない?」

「……はい」

「お亡くなりに?」

「――はい。事故と病で、小さい頃に」

「……そう」