花明かりの夜に

「そういえば、お金が貯まったらやりたいことがあると以前言っていたね。

何をやりたいの?」

「え? わたしが――ですか?」

「ああ」


(そんなこと、言ったっけ)


最初に顔を合わせたときに言ったような気もする。


「大した話じゃありませんけど」

「うん」

「身寄りのない子どもに帰る家を与えてあげたい……なぁなんて」

「帰る家を?」

「はい」


我ながら、子どもじみた考えに思えて。

沙耶は、何だか気恥ずかしくなってうつむきながらうなずいた。