花明かりの夜に

(これは、何――?)


戸惑いながら。


――ふと、細い糸が見えた気がした。

ほんのり光る、細い糸。

現実と自分をつなぐ、細い細い糸。


世間から外れてしまったように感じていた自分。

そんな、糸の切れた凧のような自分をつなぎとめる、何か。


「あの……ありがとうございます」


小声でおずおずと礼を言った。

手に持った本に伝わるくらい、心臓がドクンドクンと大きく打っていた。

そんな沙耶を、紫焔は目を細めて眺める。