花明かりの夜に

(手紙なんかも、どっさり届いていたっけ)


これだけ物がたくさんあるのに、欲しいものは何もない。

何も欲しいと思えない。

どれも、自分と関係ないもののように思えて。

そもそもこの世界自体が自分と関係がないようにすら思えていた。


「……必要な物があれば買いますけど」

「……まぁ、そりゃそうだろうけど」


沙耶の味気ない返事にも気にせず小さくうなずいて。

紫焔はお茶をすすりながら、懐に手を入れた。


「こういうものも、欲しくない?」

「?」

にっこりほほえんで、懐からすっと出したものは、一冊の分厚い書物。


「……これは?」