花明かりの夜に

沙耶をちらりと流し目に見る。


「……毎日見かけるけど、休みはいつ取っているの?」

「……今のところは、特にいただいてないんです」

「休みなしで?」


茶菓子を片手に、紫焔は眉を上げた。


「休みをとって男と逢引きなど、しないの?」


どこか引っかかる問い。


「……そういうの、あまり興味がないんです」

「引く手あまただろうに」

「いいえ……そんなことありません」


“引く手”という言葉の響きに何だかぞっとして、沙耶は首を振った。

たくさんの、自分に触れようと客席から伸ばされる手。