花明かりの夜に

「あなた……どうしたの? 何かあったの?

立てる? 怪我はない?」


汚れ、乱れた着物に、傷んだ履物。

泣きはらして腫れた目元。

きちんと座る体力もなくぐったりと倒れているような様子に、きっと倒れたか襲われたかどうにかしたと思ったのだろう。

沙耶に手を貸すと立ち上がらせた。


「すみません、平気です」


丁寧に手入れのされた上品な身なりに上品な物腰。

人を疑うことも知らないような、まっすぐに沙耶を見るやさしい目。

品のない派手な柄の着物の自分が急に恥ずかしくなって、沙耶はうつむいた。


「……ありがとうございました」

「どうしたの? ……歩ける? 家まで送らせましょうか?」

「……ありがとうございます。でも……」