花明かりの夜に

「あーあ。

これからどうしよう」


川べりに腰掛けて、咲き誇る美しい桜を呆然と眺める。


商人の舟に飛び込みで乗せてもらって、こっそりやってきた見知らぬ町。

沙耶のことを誰も知らない町。


あの子らしいわよ、などと後ろ指を差されたり、

ニヤニヤといやらしい笑いを浮かべた男たちにジロジロ見られることもない。


(きれいな町ね)


今までいた、派手な大きな町ではないけれど。

活気のある心地よいところのように思える。


川べりに咲いた満開の桜は生命力に満ちて、生きる歓びを謳歌しているように見えた。

ボロボロの沙耶と違って。