家の前に着くまで私たちは一言も話さなかった。

「ありがとう…ございました……」

そう言って降りようとすると先生に腕を引っ張られ、またキスをされる。

「んン……せ……んせ………」

でも昨日とは違う、深いキス。
義樹よりも甘くとろけるようなキスに思わず声がもれる。

「…ン……ふぁ……んン…」

先生はキスが上手い。

やっと先生から解放されると、力が抜けて動けなくなってしまった。

「あのさ……」

先生が口を開く。

「もう…ごめんとは言わない。このキスは、俺の気持ちだから……」

「それってどういう――――」

「好きだよ、吉里。」

先生の思わぬ言葉に頭が追い付けずにいると、先生はふわっと笑った。