私も帰ろうと真輝を探すため教室を見渡すと、まだ残っていた先生と目が合う。
え?こっち見てた…?
教室にはもう私と先生しか残っていない。
「先生…?」
「ん?」
「真輝知らない?」
「佐藤ならもう帰ったよ。」
ガーン
真輝さん早いっす。今日の帰りは一人かぁ。
「吉里、今日このあと用事ないの?」
「ないよ、どうせ私は暇人ですぅー!(笑)」
少しとげのある返事をして帰ろうとすると先生に腕を掴まれる。
「待て待て。暇なら俺の手伝いしない?帰りはちゃんと送ってってやるから。」
「別にいいけど。」
また素直じゃない返事。それでも先生は笑顔で「決まり!」と言うと私の腕を離し、「行くぞ。」と言って前を歩いていってしまった。
先生に掴まれた腕が、熱い。