黙って見つめる私と里菜に、チョコちゃんは続けた。


「だから先輩だって、『気にしてないから』って言ってくれてたんでしょ?先輩は、それだけ本気なのよ、あんたのこと。本気であんたのこと、惚れさせたいって思ってるのよ」


....そうなの、かな。


いかんせん自信がないから、いまいち信じられない。

だって、先輩が本気で好きになるようなところがないし、私。



「.......」


....どうするのが、正解?


黙って悩む私の横で、里菜が感動したように、

「チョコちゃん、素敵!」


と言って、チョコちゃんに抱きついていた。







次の日。


三時間目の移動教室に間に合いそうになくて、廊下をパタパタと走る。


周りにはあまり人がいなかったから、私はすっかり油断していて。


曲がり角で汐見先輩とバッタリ会った瞬間、驚いて持っていた教科書類を床に落としてしまった。