汐見先輩は、真っ赤な顔の私を見て、本当に小さな声で言った。



「....そういう顔されると、期待するよ」



たぶん、私にしか聞こえてない。


私は目を見開いて、バッと顔を上げた。


けど先輩は、眉を下げて苦笑いをしていて。



「...なんて。ごめん、君を困らせたいわけじゃない。...今朝のことも、僕が悪かった」



....違う。

違うよ。


私だって、そんな顔させたくて、『友達になりましょう』って言ったんじゃないよ。

先輩、優しすぎる。



何も言えなくなった私を見て、先輩は切なそうに目を細めた。

そして、もう一度私の頭を軽く撫でる。


『気にしないで』って言うみたいに。