松原先輩は私達を見て、どこか嬉しそうに笑った。



「ヒサがそんなに素直に話せる女の子ができて、よかったよ」



私はその言葉を、頭の中で繰り返した。

そして、「そうですか」と言って、ちょっとだけ笑った。







私の彼氏は、ちょっとへんなひとだと思う。


可哀想なことに、私みたいな残念系女子を好きになってしまった。


しかも、私が自分の日々に必要であると言う。


あのひとは前世にすっごい徳を積んだから、あんなハイスペックに生まれちゃったんだと思ってたけど。


ぜんぶ完璧にしちゃわなかった神様は、なんだか意地悪だなぁ。


あのひとにはもっと華やかな恋愛ができる容姿も、頭の良さも、性格の良さもあるのに。


ただちょっとだけ、神様は彼の恋愛に関する歯車だけ、狂わせてしまった。


私以外の女の子に浮気するなんていう器用なことも、たぶんあのひとはこの先もできない。考えてすらいない。

かわいそう。

でもそんな彼が好きだ。