松原先輩は私達を見て、どこか嬉しそうに笑った。
「ヒサがそんなに素直に話せる女の子ができて、よかったよ」
私はその言葉を、頭の中で繰り返した。
そして、「そうですか」と言って、ちょっとだけ笑った。
*
私の彼氏は、ちょっとへんなひとだと思う。
可哀想なことに、私みたいな残念系女子を好きになってしまった。
しかも、私が自分の日々に必要であると言う。
あのひとは前世にすっごい徳を積んだから、あんなハイスペックに生まれちゃったんだと思ってたけど。
ぜんぶ完璧にしちゃわなかった神様は、なんだか意地悪だなぁ。
あのひとにはもっと華やかな恋愛ができる容姿も、頭の良さも、性格の良さもあるのに。
ただちょっとだけ、神様は彼の恋愛に関する歯車だけ、狂わせてしまった。
私以外の女の子に浮気するなんていう器用なことも、たぶんあのひとはこの先もできない。考えてすらいない。
かわいそう。
でもそんな彼が好きだ。