なんとなく俯いていた顔を上げて、帰りの準備を始めた先輩の背中を見つめる。
寂しくなって、こっそり近づいた。
「汐見久登さん」
彼の真横に立って、名前を呼んでみる。
先輩は驚いた顔をして、こっちを見た。
久登、まで呼ぶのは初めてだ。
「....な、なに」
「...なんでもないです。呼んでみただけです」
「....そう」
動揺してる。
それがわかって、嬉しくなる。かわいい。私の好きなひと。
「....あ」
すると、途中で先輩が何かに気づいた。
視線の先を見ると、教卓の上にノートが一冊置かれている。
汐見先輩が、それを手に取った。



