キミじゃなきゃダメなんだ



「...あ、えと、お疲れさまです」


まだ普通の会話なのに、この先の展開を予想されているかもしれないと思うと、なんだか緊張した。


「...ありがと。遅くなってごめん」

「い、いえ....」

「ちょっと待ってて、帰る準備するから。中入っていいよ」


そう言われて、恐る恐る教室へ足を踏み入れる。

一年の教室とおんなじ造りをしてるはずなのに、なんだか違って見えた。


....ここで先輩はいつも、過ごしてるんだなぁ。


私が知らない先輩がいる場所。

私がどうやったって越えられない、隔たり。


それを突然目の当たりにしたような気がして、急に寂しくなってきた。


黒板の横に、丸められた大きな方眼紙が立て掛けられている。


...あれかな。壁新聞。

今までの数時間、先輩はあの綺麗なひととずーっと一緒にいたんだ。


....ふたりきりで、あんな魅力的なひとと.....



「...........」



...馬鹿だな、私。

なんで自ら暗くなろうとするんだ。阿呆。